外国で大怪我をしました

桑原 耕治

4月にフィリピンのシキホールと言う小豆島くらいの島へ遊びに行っているとき、モータバイクで転倒し、肋骨6本と鎖骨を折り、足には排気管で10cm×15cmほどの小判型火傷を負いました。帰国後、日本の医者に「死んでいてもおかしくない怪我」と言われましたが、たくさんの教訓を残してくれましたので、事故の様子から保険会社とのやり取りまで、恥ずかしながら私が得た教訓をお話しします。

1)4月7日
 レンタルしたモータバイクで島を一周していて、夕刻が近づいたので、少し急いで走っておりました。急なカーブにかかったので、スピードを落とそうとブレーキをかけたのですが、強すぎてスリップし、転倒しました。ひどく左背中を打ち、しばらく立てないほどでしたが、通りがかった人々に助けられるなどして、何とかホテルへ帰りました。
・・・教訓(その1)  旅先では旅程に十二分な余裕を持て。行った先で友達を作るなり、ガイドを雇うなどして単独行動は避けよ。

2)その後の島での生活
  鎖骨や肋骨が折れているかもしれないと思ったのですが、島には十分な診療設備がなく、おまけにホーリーウイークと言って日本のお盆のような時期だったため、島と本土を結んでいるフェリーが欠航するなど移動が容易でありませんでした。そこで、しばらく安静にして様子を見ることにしました。
・・・教訓(その2)  自然豊かな島では、怪我や病気を避けるよう慎重に行動するべし。特にお祭りのような行事に合わせてゆく場合、交通機関や医療機関がマヒ状態になるのでますます注意が必要。

3)日本へ帰ってから 
関空から病院へ直行しましたところ、鎖骨並びに肋骨6本が折れているが、他には異常はないことが分かりました。もしも、折れた肋骨が肺を傷つけ、肺内で出血していたら命が危ないと医者に言われました。どうやら紙一重の幸運で生きて帰ったようです。
鎖骨をつなぐ手術に際し、2箇所の病院で診察を受けたところ、手術の方法が異なりました。1つの病院はバーとネジを使って骨を接ぎ、1年後に取り外す方法でした。もう一つの病院は、骨の中にバーを通して接ぐ方法でした。バーとネジの場合、取り外すときも全身麻酔で切開手術が必要です。バーを通しただけの手術は、これを抜くとき局所麻酔の日帰り治療ですみますし、骨にたくさんのネジ穴を開けなくて済むので鎖骨の強度も落ちません。もちろん、私はバーを通す病院で手術を受けました。
・・・教訓(その3)  よほどの緊急事態で無い限り複数の病院の診察を受けたほうが良い。セカンドオピニオンを求めることは患者側の当然の権利と認識されるようになっており、遠慮は無用。もし、いやがらせを少しでも感じたら、即刻別の病院へ移りましょう。

4)保険金の請求
私の場合、カード会社が提供する旅行保険とその補償額を超える治療費・救援費に備える追加の旅行保険に加入することにしています。万が一の場合、ドクタージェットをチャーターして日本へ直行できる金額(〜3千万円)の保険に加入して万全と思っておりました。しかし、実際はそんなに単純なものではないことを知りました。
多くの保険は違法行為やけんかによる負傷などは補償しません。そこで気になったのが、私の行為は無免許運転という違法行為によって起きた事故ではないかということでした。普通車免許でも原付自転車は運転できますから、フィリピンでも小さな排気量のバイクなら問題なかろうと思っていたのですが、実際に事故を起こして見ると、自動二輪とみなされて無免許運転と判断される可能性を心配しました。ところが幸い、フィリピンは普通車と自動二輪を区別しない免許体系なので、合法的な行為とみなされ保険金を得ることが出来ました。また、私が国際免許証を持参していたのも幸いしました。保険の査定員は、国際免許証を持っていなかったら保険金は支払われないと言っておりました。また、海外で怪我をしたら、行く病院や治療方針について、ただちに保険会社に相談したほうがよいということでした。とてつもない高級病院による高額な治療費用、ドクタージェットのチャーター費用、旅程変更に伴うさまざまな費用などは事前に了解を得ておかないと保険会社は支払いに応じないことがあるので注意が必要です。
・・・ 教訓(その4) 海外で治療が必要になったとき、何をおいても、保険会社へ電話すること。保険会社に頼めば病院や通訳の手配も助けてくれる。保険会社を自分の味方と思って頼るべし。また、渡航先では常に保険会社と連絡が取れる手段を確実なものにしておくこと。

5) 入院費用
保険査定員は個室の利用で発生した差額ベッド代金は支払えないと通知してきたのですが、「大部屋が一杯で、やむなく個室を利用した」と事情を話したら、1日につき1万円までの差額を支払ってくれました。
・・・ 教訓(その5) 保険会社は正当な要求には応えてくれるので、事実を洗いざらい素直に言い、判断は相手に任せてしまうと案外良い結果が得られる場合がある。

6) 年寄りの骨折
医者から「あなた、もう62歳ですからネー ・・・ 手術しても骨が繋がるとは保証できませんヨォー。」と言われ、自分がそういう年になっていたことに気付かされました。これは本当にショックでした。
・・・ 教訓(その6) 怪我や病気をしてみて始めて自分が老人であるという現実を認識できる。

というわけで、命からがら、今日があるわけですが、シキホール島の自然もそこに住む人々も豊かであることに変わりはなく、怪我が治ったらまた行こうと思っております。今度は、学んだ教訓を生かしたいと思っております。