ぴたっとジャーナル
http://202.242.245.13/pitatto/pita_journal/110309.html

ABCラジオ 「武田和歌子のぴたっと。」
放送日:2011年3月9日(水)
http://202.242.245.13/pitatto/pita_journal/110309.html

ニュージーランド地震から2週間 日本に根付く支援

ゲスト:
日本ニュージーランド協会(関西)
世話役・呉橋真人さん


? クライストチャーチ中心部1.5キロ四方が立入禁止に!
? 家は無事!でも余震恐れて親子孫の3世代がキャンプ生活
? 忘れない!募金活動で阪神・淡路大震災の善意の恩返しを

 先月(2月)22日に起きたニュージーランド地震。マグニチュード6.3という大きな地震で、これまでに死者・行方不明者は120人以上、身元が確認された人は、日本人女性3人を含めて60人を超えています。また被災地は建物が壊れたままになっていて、復興にはかなりの時間がかかると見られています。地震から2週間が経ち、現地に住む日本人など、被災者は今、どのような生活を強いられているのでしょうか?
 きょうは長年にわたり、日本とニュージーランドの人々との交流を続けていらっしゃる日本ニュージーランド協会(関西)の呉橋真人(くれはし・まこと)さんに、被災地の様子や支援活動について伺います。

◆クライストチャーチ中心部1.5キロ四方が立入禁止に!

(加藤)日本ニュージーランド協会(関西)はずいぶん前からニュージーランドとの交流をされてきたのですか?

(呉橋)「私たちの協会はもともと東京で1959年に作られて、初代の会長は当時のニュージーランド大使でした」

(加藤)そうでしたか。

(呉橋)「西宮に川瀬勇(かわせ・いさむ)という青年がおりまして、今から80年前、ニュージーランドで初めて大学を卒業しました。彼が東京の協会を1959年に作り、関西の協会を1970年に立ち上げました。関西での活動は40年になります」

(加藤)今回の地震は驚かれたでしょうね。

(呉橋)「ただこれは余震の1つなのです。というのは去年の9月4日(土)の未明、マグニチュード7.2でしたか、今よりも大きな地震が起きていまして、それから5ヶ月の間に200回余震がありました。
 日本には報道されていませんが、去年12月26日にもちょっと大きな地震がありまして、私の知り合いの弁護士の古い家が、その地震で倒壊しました。そして今回一番大きな余震がきたという感じなのです」

(加藤)今も現地とずっとコンタクトを取っていらっしゃると思うのですが、現状はどうなっているのでしょうか?

(呉橋)「まず、中心街ですね。日本からのツーリストが行って、泊って、ショッピングして、食事するあたり。これら1.5キロ四方は全くの立ち入り禁止地区になっています。ですから現地の人たちも入ることができません」

(加藤)中に入ることができるめどは立っているのですか?

(呉橋)「まだ3ヶ月から6ヶ月はかかるのではないかと言われています」

(加藤)そうですか。建物が倒壊してペシャンコになってしまっているということで、また、倒壊の恐れがあるということですね。

(呉橋)「そうですね。倒壊の恐れがある。水、電気、電話、これらがむちゃくちゃですので。中心街はもちろんビジネスの中心でありレストランやホテルなど全ての中心なのですが、そこから水も、下水も、電気も、電話も全て切れてしまっています」

(加藤)インフラが全く整備されていないという状況なのですね。

(井之上)でもこれ、1.5キロ以内に住んでいる方はどこか違うところで生活しなければならない。

(呉橋)「そういうことですね。いくつかの大きな避難所があってそこに行くなりしないと。実際にはその1.5キロ四方を囲んで2倍くらいの地区が、最初の封鎖地区になったのですが、今は徐々に解除されています。最終的にこの1.5キロ四方が残るだろうということです」


◆家は無事!でも余震恐れて親子孫の3世代がキャンプ生活

(加藤)クライストチャーチは建物の多くがレンガ造りと聞いているのですが。

(呉橋)「歴史的に、ここにイギリスから人々が集団で植民に入ったのが、今から160年前のことなのです。だから彼らの故郷の建物を、地図を見てわかるように碁盤の目に、イギリスで街を設計してきているのです」

(加藤)非常に整然とした街ですね。

(呉橋)「そして街の中心にキリスト教会を置いて、街の名前もクライストチャーチだとイギリスで決めて渡ってきているのです」

(井之上)日本で言うと、どこの街に近いのでしょうか?

(呉橋)「どうでしょうか。(北海道の)札幌にイメージが近いのではないでしょうか。碁盤の目というところとか」

(加藤)整えられて。

(呉橋)「レンガ造りの建物とか、大きな公園が街の中にあって、川が流れて、小さな札幌という感じでしょうか」

(加藤)関係のある団体や、ホストファミリーの被害はどういったものでしょうか?

(呉橋)「幸いみなさん命は無事なのですが、煙突が崩れたとか、上下水、電気、電話、これらがダメです。で、しょっちゅう余震があるわけです。だから不安でしょうがないので、まず家の中で眠れない。
 それから水をとにかく確保しなければならない。トイレが流れないから、バケツとショベルでもって、家がありながら、家の外でキャンプ生活を」

(加藤)余儀なくされていると。

(呉橋)「一人暮らしの人たちは特に。ニュージーランドは2世帯、3世帯が同居することはまずないのですが、今はとにかく、上下水、電気、電話のある家族のところにみんな集まって、未だに不安な夜を過ごしているということです。
 きのう電話がやっと通じたおばあちゃんがいるのですが、それまで全然通じなかったのです。それで心配していたのですが、娘さんの家にずっといたのです。猫にえさをやりに来たときに、たまたま私からの電話が鳴ってとってもらえました。そのような状況で、『怖くて一人でなんかとっても眠れない』と。『夕べもマグニチュード3の余震が6回あった』と言っていました」

(井之上)すごいストレスでしょうね。

(加藤)そうですか。地震から2週間経って、阪神・淡路大震災と同じような状況になっているということでしょうか?

(呉橋)「そうですね。まさにその風景だろうと思います」


◆忘れない!募金活動で阪神・淡路大震災の善意の恩返しを

(加藤)現地でどのような援助が必要だと聞いていらっしゃいますか?

(呉橋)「まず心理的というか、人々が希望と力を持つというか、自分たちは見放されていないと、ニュージーランドの人たちからも、世界の人たちからも応援している、という気持ちとか。
 あるいはもちろん復興には大変なお金がかかります。ニュージーランド人、一人当たり1ドルをこの復興に充てることが決まって、新しい税金も間もなく国会を通ると思います。ニュージーランドが疲弊してはいけませんから、私たちもできるだけたくさんのお金を送ることが必要だと思います」

(加藤)それにあたって今回募金“ニュージーランド地震被災者救援募金”、これを急きょ行うということなのですね。

(呉橋)「22日に地震が起こりまして、23日に知らない人から3件の電話がありました。やはりクライストチャーチに語学留学やワーキングホリデーで行った若い人たちですが、『ぜひ協会を手伝わせてください』と、『私、何かしないではいられない』と、『協会は地震に対して何をするのですか。それを手伝いたい』ということだったのです。
 とっさに思いつくのは街頭募金。そうすればたくさんのボランティアがそのために動けますよね。『やはり何かしたい』という気持ちを持っている人がたくさんいることがわかったので、その人たちの受け皿になりたいというのが、募金活動の最初のきっかけです」

(加藤)なるほど。募金は被災地のどこに、どのように届ける計画を立てていらっしゃるのですか?

(呉橋)「13日に私の知り合いのクライストチャーチの方が来ますので、その時点では150万円近くになっていると思うのですが」

(加藤)目標金額がそのくらいを見込んでいらっしゃる。

(呉橋)「はい。それを彼に小切手で持って行ってもらいます。私たちの協会は神戸の地震のときに、私たちの協会が窓口となり、クライストチャーチから『もし家のない人がいたら、クライストチャーチに一時避難してください。クライストチャーチ市民はホームステイで、喜んで迎え入れますよ』とお誘いがありました」

(加藤)そうだったのですか。

(呉橋)「69名の被災者が、10歳代の若い方からお年を召した方まで、最長3ヶ月クライストチャーチでホームステイして、身も心も癒されて帰ってきたということもありました。
 『神戸は決して1995年の、クライストチャーチの温かい気持ちを忘れてはいませんよ』と、向こうの新聞にきちんと出してもらって、その記事とともに募金してくれた方たちに、『あなたたちの募金はこのように使わせていただきました』ということをご報告したいと思っています」

(加藤)今度は私たちの番、という思いがおありなのですね。募金活動はいつ、どちらで行う予定でしょうか?

(呉橋)「今週の週末が最後になりますけれども、JR三ノ宮駅周辺、大丸から元町周辺まで、一時留学した神戸国際高校の高校生たち46人が手伝いに来てくれることになっていますので、ちょっと規模を広げて神戸で行います。
 大阪のほうはJR大阪駅周辺で、やはり留学経験のある高校生たちが、たぶん30名くらい手伝いに来てくれると思いますので、行います」

(加藤)募金活動のボランティアも募集されていますよね。

(呉橋)「もちろんです。毎日のようにお電話をいただいております」

(加藤)そうですか。もう一度ご連絡先をご紹介します。日本ニュージーランド協会(関西)の電話番号は06−6367−1773です。ホームページにも載っているということですね。 ニュージーランドでは今月(3月)18日に国をあげての追悼式も行われるということです。多くの人が困っています。ご協力をお願いします。