タウランガ奮戦記
桑原 耕治

8月下旬から1ヶ月ニュージーランドへ行ってきました。副会長の松元さんにお願いしてワイカト大学のタウランガ校に通い、ホームステイして英語を学び、余暇を利用して乗馬教室へ行くという段取りでした。一応計画通りスケジュールをこなして帰国したわけですが、決して順調というわけではありませんでした。

始めの1週間は無我夢中で過ぎましたが、2週間目あたりから夜中に突然物凄い孤独感に襲われ、それ以降たびたび孤独感に悩まされました。ホストファミリーは優しいし、学校は面白いし、レストランやカフェも快適だし、無制限の医療保険に加入しているし、なにかトラブルがあればワイカト大学が面倒見てくれます。何の心配も無いはずなのですが、それでも悪夢のような孤独感が突然襲ってくるのです。初めて経験するものでした。

こんなとき、たまたま2晩ほど泊まっていった牧師に悩みを相談できたのは良い経験になりました。この牧師は、40歳位のニュージーランド人なのですが、フィリピンで布教活動をしており、家に用事があって信者の家を転々としながら帰るる途中でした。貧しい生活をしながら一人で布教活動をしている彼に、どのように孤独と戦っているのかとしつこく聞いたところ、仏教とキリスト教との根本的な違いを教えられました。心の平安を得るという最終目的はどちらの宗教も同じだが、手段が違うというのです。仏教は自分でやらねばならないから、できない人は永久にできない。キリスト教は神様頼みでやるので、できない人でもできるようになるというのです。また、「1週間目は無我夢中、2週間目は辛い思いをして、3週間目にはすこし落ち着き、4週間目には帰りたくなくなる」「今、日本に帰ったら、この先にあるものをあんたは永久に見ることができないが、それでいいか?」といった言葉が印象に残っています。

ホストファミリーとは夕食後、よく宗教の話をしました。なぜホストファミリーは敬虔なキリスト教徒なのか、そのきっかけは何か、そういったことを彼らがすごしてきた七十数年の歴史とともに知ることができました。時にはホストファーザーの爺さんと本気で喧嘩をしたこともありましたが、ホストマザーのおろおろとしたとりなしを受けて、この人を悲しませてはいけないと大いに反省することもありました。

登山は、登っているときその辛さに挫けそうになります。頂上に立った後、帰る汽車の中でしみじみと味わったあの達成感を、帰りの飛行機のなかでじっくり噛み締めつつ帰国しました。

もちろん、事情が許せば来年の夏もヘレン&レックスのところへホームステイし、午前を英会話、午後を乗馬やハイキングや絵描きで楽しみたいと思っています。次回は2ヶ月に挑戦かな?


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