紙科学者からのメッセージ (1)文系王国日本

                山内龍男

仕事柄海外で開催される紙物性の国際会議に出ることもある。いつもの知り合いの科学者とは雑談もするし、晩餐会になり、偶々隣席の方が企業からの方ともなれば会社を含む各組織の人事の話も出てくる。そこで感じるのはニュージーランドもその仲間であるが、欧米社会でのエリートやトップには理系人間(理系学部卒)が多いことである。日本なら文系人間(文系学部卒)が座る地位に、理系の博士号取得後マネージメントに転じて評価が高い多くの方が居られる。翻って日本をみると政界で活躍中の理系人間は雀の涙ほどで(有名人では民主党の鳩山氏が東大工学部と管氏が東工大位?)、実業界でも少なく、やっと製造業にちらほらの状態である。製造業なら重役の少なくとも半数は理系人間であるべきと思うが実態はそうではないようである。度重なる不祥事を繰り返すある製造業の対応を見ると、系列商社から迎えた新たな社長がゲキを飛ばしており、いずれも文系人間である。現場が分かり、また物作りに理解がある理系人間でないと対処しきれない課題が多いのに、精神論しか打ち出せない文系人間を製造業トップに据える感覚が不思議でもある。私大出の文系人間である首相をはじめ、経済でも数学等の理系のセンスが必要な時代に日本の中枢である政界、官界、実業界とくに金融界のトップは文系人が牛耳っていると言って差し支えない。これらの方が例えばリスクマネージメントの基礎になる確率論を理解されているのであろうか?また人材的に見て文系人の方が優れているのか?そんなことはないであろう。むしろ文理共にできる人は理系人間に限るようである。また有名進学校でも理系/文系クラス比は普通3/1あるいは2/1であり、実際の大学進学時でまた就職時で理系から文系にシフトする者も居るが、総じて理系に進む学生の方が多い。また理系クラスの出来が悪いとは到底思えない。むしろ文系人間は理科的センスが無く、特に入試問題で理系科目を問われない私大の文系人間に顕著である(トップ大学である東大では文系でも配点数こそ少ないがセンター試験で理系問題を科せられる)。従ってトップクラスの大学卒業者に限定すれば理系が多いはずであるが、明治以来の伝統なのか官僚を始め日本社会は文系王国なのである。当然生涯賃金も文系人間が多いようで、これには東大の理系学生が日本社会に文句を言っていると聞いたことがある。なお最近の中国政界のトップはいずれも理系人であり、長期的には文系優遇で停滞気味の日本を尻目に中国の躍進は今後も続くと考えられている。
先日の運営委員会で会報原稿不足の穴埋めとして会長より昨今の学生気質について急遽書いてくれと依頼されました。しかし時間の余裕が無く1週間の期間で纏めるのは無理と判断して、かねてから暖めてあった別の話題の未発表稿でお茶を濁してしまいました。ご寛容のほどを。

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