アイスランド火山噴火で恩恵


4/20(CNN) アイスランドの火山噴火で周辺の航空網がまひし、欧州からの輸出が滞るなか、遠く離れたニュージーランドに代替品を求める注文が集中している。同国のサケ養殖や切り花販売の業者は、思わぬ「恩恵」に嬉しい悲鳴を上げている。

養殖業者「ニュージーランド・キング・サーモン」の最高経営責任者(CEO)、グラント・ローズウォーン氏は週明けの19日朝、ドバイの業者からの注文書に目を疑った。「普段の注文はサケ5箱。それがこの日は500箱になっていた」という。欧州の飛行規制で、ノルウェーからのサケの輸出がストップしたためだ。

同社では需要の急増に対応するため、420人の従業員が総出で残業している。創業来初めて、週末勤務を追加する可能性もあるという。現在、日本や東南アジア、中東の高級レストランや小売店向けに輸出するサケは、200トンに上っている。

高級ブランドとして知られる同社のサケは、世界的な金融危機の影響で出荷量が落ち込んでいた。養殖サケは出荷までに3年かかる。今年は、金融危機前の2007年に飼育を始めたサケのうち500トンが余り、「冷凍して日本の店頭に出すしかない」と覚悟していた矢先だった。「噴火はとてもいいタイミングだった」と、ローズウォーン氏は顔をほころばす。

花の栽培、流通業者も、噴火の恩恵を受けている。欧米の結婚式シーズンをひかえ、普段はオランダ産の花を調達している北米地域から、ニュージーランドに問い合わせが殺到し始めた。

「今週に入ってから電話が鳴り続けている」と話すのは、切り花の輸出業者「イースタン・アンド・グローバル」のトップ、グレッグ・キーマー氏だ。

ニューヨークやシカゴ、トロント、ケベックなどからシンビジウムの注文が寄せられているが、例年なら輸出が本格化するのは、オランダでの生産が一段落した5月後半。同氏は「現時点で出荷できる量がもっとあれば」と、残念がっている。