経済回復と賃金値上げの実態

 昨年続いた不景気からようやく回復の兆しが見え始めた今年こそ、ニュージーランドの就労者の給料交渉が可能になったとの声があがっているが、誰もが皆交渉に成功するわけではなさそうだ。 実際とりわけ優秀な就労者はともかく、全体的にみて給料の上昇はあまり見られていない。

 ニュージーランド経済はここ9ヶ月間で回復しているものの、多くの会社がまだ不景気から抜け出せず、多くの就労者が2008年以降賃金の値上げを受けていないが、現在の失業率は7.3%で1999年以来最高値を示しており、現状の厳しさがうかがえる。3年前の失業率は半分以下の3.5%程であった。

 看護師、福祉指導員、理学療法士など地方衛生局で働く約4万3千人の雇用者は来年1月より2%の賃金値上げが受けられることになっており、その他裁判所員、消防署員などの組合は賃金値上げ交渉を進めている模様だ。

 そんな中、教員組合PPTAでは、もし教育省が4%の賃金値上げ交渉をはねつけた場合、翌月にストライキを起こす予定だとしている。

 ANZ National Bank の経済学者であるCameron Bagrieチーフは、現在多くのニュージーランド人が経済発展をしているオーストラリアへ移動しており、この事態が今年後半から、ニュージーランド国内において多くの技能移民不足が出てくると警告している。

 教員のようなニュージーランド国内で必要とされている技術者達の賃金値上げは、彼らを国内に確保するためでも必要である。
(NZ大好4月13日)