「GLUTEN FREE」をご存知ですか?

英語圏の国でよく見かける「◯◯FREE」というサイン。 ◯◯がない、という意味合いなので、SMOKE FREEなら禁煙、FAT FREEなら食品が無脂肪、TAX FREEなら非課税、という意味になりますよね。 このような表示の仕方は、カフェやスーパーの食品にも使われており、(egg free, dairy free, nut freeなど)アレルギー等で特定の食品を避ける必要がある方には大切な情報です。

 その他、同じ「○◯FREE」という言葉の中でも、カフェ好きの私がニュージーランドに来てから頻繁に見かけて気になっていた言葉があります。 それは、「GLUTEN FREE」。 日本ではあまりなじみがないように思います。グルテンとは、小麦に含まれる粘り気を出すタンパク質のことです。

 ○ セリアック病という病気をご存知ですか?
 これは、グルテンを含む麦類を食べると、数十分から数時間後に腹痛や下痢などをきたしてしまう病気です。グルテンを含む食品が体の中に入って消化される際に反応が出ます。具体的には、免疫機能がうまく働かずに、自分自身で小腸の内膜を間違って攻撃してしまうのです。その結果、お腹が張って痛みを感じたり、栄養が吸収されにくくなって貧血や骨粗鬆症をきたしてしまう恐れがあるそうです。

 もともと北ヨーロッパの白人の方に多い病気だそうですが、ニュージーランドでもその比率は高く、約100人に1人はこのセリアック病と診断されているそう。クライストチャーチの、とある研究では、85人に1人がなんとセリアック病だったとか。これはかなり高い比率だと思いませんか?

 ○ では、誰がこの病気になる可能性を持っているのでしょう?

 産まれもってこの病気である人もまれにいるようですが、大半は遺伝的にかかるようです。肉親がセリアック病である場合は、かなり高い確率で遺伝するのだそうです。

 ○ でも、どうして日本にはこの病気が少ないのでしょう?

 朝はシリアルやトースト、昼はサンドウィッチやハンバーガー、そして、フィッシュ&チップスが大好きなキウィの食生活に比べると、お米を主食とした和食を食べている日本人の食生活は、グルテンの摂取量がとても低いと言えます。このことから、今までは、たとえセリアック病になる素因を持っていた方でも、グルテンの刺激が少なく、病気が発症しにくかったと考えられているようです。ただ、昔と比べ欧米化した現代の食事を続けていると、将来、この病気にかかってしまう可能性は、高まっていくのではないでしょうか。

 ○ グルテンフリーの食品は高価?

 パスタやパンなど、通常グルテンを含む食品を、味や食感等をなるべく変えずにグルテンフリーで作るということは、非常に難しいことです。研究に研究を重ねた結果、安全な食品を製造しているのですから、手間やコストがかかっている分、当然、商品価格は高くなりがちでしたが、最近では次々と新しいグルテンフリーの商品が開発され、お手頃価格になってきています。専門のお店に行かずとも、スーパーマーケットでグルテンフリーのスウィーツやパスタ、ピザ生地が買えるのですから、ニュージーランドは日本に比べると、この分野ではとても進んでいるように思います。
 また、グルテンフリーのメニューがあるレストランを検索出来るサイトもあったり、実際、気をつけてみていると、多くのカフェでグルテンフリーのケーキやクッキーを見かけます。それだけ需要がある、ということですね。

 日本でも、グルテン不耐症であったり、小麦アレルギーであったりするお子様を育てていらっしゃる方が年々増えているようです。最近では米粉を使ったロールケーキやパンなども流行っているようですが、小麦粉自体はドレッシングや醤油など、意外な商品にも含まれていますから、完璧に避ける為にはかなりの神経を使っておられる事でしょう。そんな方にとっても、ニュージーランドの環境は、とても暮らし易いのかも しれませんね。(終り)

KIORA NEW ZEALAND MAIL 9月30日号

一覧表へ戻る