景気悪化に歯止めの動き、NZ 相場は期待先行で上昇続く 

ニュージーランド(以下、NZ)の4-6 月期実質GDP は、前期比+0.4%と6 四半期ぶりにプラスとなり、景気後退に歯止めがかかる形となった。事前の市場予想では小幅マイナスとなっており、マーケットではサプライズとなった。

内訳をみると、輸出が、乳製品や木材・乳製品など一次産品を中心に前期比+4.7%と2 期連続のプラスとなったほか、個人消費が、減税などの景気対策や前期までの反動などから、同+0.4%と持ち直したことが寄与した。一方、「在庫増減」は-2.5% と成長率を大幅に押し下げる結果となった。生産の弱含みが続いていたことから、在庫調整が進んだとみられる(業種別でみた製造業の成長率は、前期比-1.3%と4 四半期連続のマイナス)。また、総固定資本形成も同+0.7%と4 四半期ぶりにプラスに転じたものの、大幅なマイナスが続いていたことの反動も大きいとみられる。総じてみると、今回プラス成長となったものの、前期までの反動の面もあり、景気底打ちというよりは、ようやく悪化に歯止めがかかったという状況ではないか。
 7 月以降は、GDP 比で約3 割を占める輸出は、8 月は前年比-23.2%とマイナス幅が拡大しており、外需の本格的な回復には今暫く時間を要しよう。一方、内需は、個人消費が、内外景況感の改善や証券市場の上昇などを受けて、消費マインドが改善しており、持ち直しの動きが続こう。また、生産の先行指標として注目される企業マインドが、02 年6 月以来の水準まで回復しており、在庫調整も進んでいるとみられることから、7-9 月期の製造業成長率も緩やかな持ち直しに転じていよう。

 以上より、NZ 経済は力強さには欠けるものの、緩やかな持ち直し局面に入ったとみている。景気の底堅さが目立つ豪州ほどではないが、4-6 月期までマイナス成長だった米国や欧州よりも調整圧力は緩和されていると言えよう。10 年度については、2%台の成長が可能ではないかとみている。

SRI 経済トピックスレポート(ニュージーランド経済)10月7日

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