カンヌはまだ男性社会?国際映画祭コンペ部門出品女性監督が語る「ガラスの天井」

【5月16日 AFP】第62回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で15日、1993年に『ピアノ・レッスン(The Piano)』で最高賞・パルム・ドール(Palme d'Or)を受賞したニュージーランド女性、ジェーン・カンピオン(Jane Campion)監督(55)のコンペティション部門出品作『Bright Star』が上映された。

 カンピオン監督は「映画スタジオのシステムは昔ながらの男性中心のシステムで、女性の能力が認められづらい」と、映画界の女性監督の苦悩をもらした。

 今回のコンペティション部門の審査員長はフランス人女優のイザベル・ユペール(Isabelle Huppert)が務めているが、同部門20作品のうち女性監督の作品はわずか3作品にとどまっている。「もっと女性監督に活躍してほしい。女性が脚本や監督を担当しなければ、世界全体を知ることはできない」と監督は語る。

 カンピオン監督によると、ニュージーランドとオーストラリアでは伝統的に男女平等の精神があり、女性監督は政府支援の映画システムのおかげで、ガラスの天井(見えない障壁)に立ち向かえるという。だが、映画制作の厳しい壁に直面してショックを受けている女性監督が世界中に大勢いるという。

 『Bright Star』は19世紀の詩人ジョン・キーツ(John Keats)と近所に住む18歳の女性ファニー・ブローン(Fanny Brawne)との恋愛を描いた作品。『Bright Star』はファニーの視点から物語が語られているが、女性が語り手となるのは『ピアノ・レッスン』でもとられた手法。「女性だから女性の視点から描く。男性も女性的な部分を持っていないと一人前とは言えない。わたしもかなり男っぽいと思う」とカンピオン監督は語る。

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