羊のいないニュージーランド、食肉業界の危機

ニュージーランドから羊の姿が消えるかもしれない。 より利益率の高い酪農に転向する農家が増えていることから国内の羊、牛などの食肉用の家畜の数が減っている。そのため今後数年間に最大で5箇所の食肉加工場が閉鎖に追い込まれる可能性が出てきた。

国内大手2社の食肉会社の代表は、より高い利益を求めて他の土地利用方法に転向する農家が増えていることから整理統合を行なう可能性があることを認めた。ただし、移行は緩やかで、今後数シーズンは何事も起こらないだろうと話す。
食肉・ウール協会(Meat and Wool New Zealand)はオタゴ地方とサウスランド地方では、食肉加工されたラム(生後1年未満の羊)の数が昨年と比べて30万頭減少したことを明らかにした。

農水省は今後2年間におもにサウスランド地方とカンタベリー地方で約200軒の農家が畜産から酪農に転向すると予測する。

前出の2社の代表は、より組織的なマーケティングと、成長の早い中国やインドなどに進出することが業界を立て直す最も早い方法ではないかと話す。業界は再構築する必要があるが、農家が市場の動きに合わせて行動することが速やかな増益につながるだろうという。また企業も、伝統的なロースト料理用の大きな塊肉だけでなく、より若い消費者の嗜好に合う商品を開発したり、企業間で研究開発の分野で協力して新しい技術を開拓することも必要だとした。

<消えゆく家畜たち>

国内の羊の飼育頭数
1960: 5020万頭(うちラムが3470万頭)
1973: 5670万頭(うちラムが3730万頭)
1983: 7020万頭(うちラムが5000万頭)
1993: 5030万頭(うちラムが3620万頭)
2003: 3950万頭(うちラムが3180万頭)
2007(予想): 3910万頭(うちラムが3230万頭)

15年前はNZ人一人あたり17頭の羊と言われたものです。今は10頭を割りました。

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